母の緊急手術・入院2
待合室でどのくらい待っていただろう。そんなに長い時間ではなかったと思うが、次に出てきたのは心臓外科の先生だった。
造影剤を入れたCTではっきりと急性大動脈解離との診断がされた。24時間以内に手術しないと50%の確率で助からないとの事。「手術はどうされますか?」と聞かれたが、そんな説明されたらするしかないでしょ。
ちょっと可笑しいなと思ったが、大手術なので高齢であることから手術自体に身体が耐えられない可能性もあるし、人によっては元の健康状態からしてわざわざ危険な手術をしてまで、という事もあり聞くらしい。
この時私は逆に手術しなくても50%は助かるのかと思ったが、そんな事はなかった。後で知ったが、48時間以内に亡くなる可能性は80%と時間が経てばたつほどリスクは大。とにかく一刻も早く手術が必要だった。
実際にすぐ手術をお願いしたが、手順として色々な検査結果等を入れて、手術のリスクを計算するところから始まった。事情があってヨーロピアン型の統計を使ったが、それによるとリスクは10%との事だった。
東京都は緊急大動脈手術ネットワーク(?)が構築されていて緊急手術ができる病院に運んで24時間以内に手術ができる体制が出来ている、という説明をされたので一瞬ここからまた別の病院に搬送されるのかと思ったが、ラッキーな事にここがその受け入れ先の1つとなっていたので、そのまま手術を受けることができた。
いま人工心臓や様々なスタッフを招集しているとの事。体温を18度近くまで下げて仮死状態のようにして手術を行うとの事。スペシャルチームが必要だ。
手術時間は基本6時間。ただし手術での出血がある程度止まらないまで閉じれないので、それがプラス2時間なのか3時間なのかはわからないという事だった。
コロナの時期なので基本面会禁止だったが、医師の判断で抗原検査で陰性なら特例で少しだけ面会できるという事で私も抗原検査を受けた。そして陰性だったので、手術直前にベットの上にいる母の顔を見ることができた。へんな話だが元気そうだった。
なんと声を掛けたらいいかと迷っていたら、母から「大丈夫よ」という声。まわりにいた看護婦さんたちが「強いわね~」と少し驚きの声を上げていた。「俺もそう思う」と返事をした。数十秒の面会。
手術開始はちょうど正午。
まさかこんな事になるとは思っていなかったので、何の用意もしてこなかった。
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